第三者による村の小学校の教科書レポート
 
 
 
はじめに     現在ドイツの教育行政は各州に任されています。教科書も各州が選定したものを使用しています。このページはバイエルン州の教科書を使っているこの村の小学校についての情報です。
日本の教科書無償配布とは違って、教科書は学校所有です。長い場合は10年以上も同一の教科書を使用しているようです。教科書には学校のスタンプと、使用者名簿が付けられ、何年に誰が使ったかが一目でわかるようになっています。Mちゃんの場合は、たまたま巡り合わせが悪かったために、10年ものの教科書を使用中。Nちゃんは、入学と同時に改訂版のピカピカ教科書を受け取りました。初回の使用者ということです。
二人から借りたドイツ語と算数の教科書の中から、ドイツらしいなあと思うことや、日本との共通点・相違点などを紹介してみました。
 
 
ドイツ語     日本でいう「国語」です。日本で「国語」の教科書によって「標準語」が定着していったように、ドイツでも「ドイツ語」の教科書の果たす役割には大きなものがあります。特にバイエルン語はいわゆる「標準ドイツ語」とはかけ離れているため、学校での学習は不可欠です。学校の授業では教師も生徒も「ドイツ語」で話します。
 
一年生
ドイツ語入門時期は、聞くことと話すことから始まります。一年かけてアルファベットをマスターし、単語の正しい綴りを覚えていきます。長文作文などはなく、単文作りの練習程度です。一年生の終わりくらいからブロック体から筆記体へ移行していきます。単語綴りテストなるものも。
 
            
教科書の表紙    オースターンのページ  天気予報のページ
 
 綴り練習用の器具(個人持ち)紙製のアルファベットカード
 
 
二年生
少しずつ本格的なドイツ語学習に入っていきます。Mちゃんの場合、どうもテキストらしいものは使用せず毎回プリントによる学習だったよう。読みの学習用テキストはかなり長文になってきます。内容も童話や観察文など多岐にわたっています。Nちゃんは、音読記録カードなるものを渡され、毎日10分以上の音読をしてサインをもらうという宿題に取り組んでいました。
またワークブックなどを使って語彙を増やすとともに、筆記体の練習に本格的に取り組みます。とにかく「正しく書く・読む」を基本に徹底的に練習するようです。
 
        
 教科書の表紙      ハリネズミの説明文   おなじみ「お手紙」
 
 
三年生
Mちゃんの場合、作文練習の宿題が毎日のように出されていました。でも日本でよくやる日記や作文ではなく、起承転結を意識した4コマ漫画からお話を作るといったような練習が中心。(その教師のやり方なのかもしれない)それと同時進行でDiktat書き取り(読み上げられた文章をそっくり書き取る)の練習がこれもほぼ毎日。これは日本ではあまりやらないでしょう。小学校のドイツ語学習では、いかに徹底的に基礎を反復練習するかが中心のよう。日本の教科書の扱いはどちらかというと物語文に多くの時間をさき、中でも登場人物の心理の読みとりを奨励する部分があるようです。文化の違いでしょうか。
 
 
四年生
いよいよ基礎ドイツ語の総仕上げです。ワークブックで文法や綴りなどを確実にしていきます。修得すべき単語はさらに増えます。各学年修得めあての単語リスト
このリストにのっていない単語もたくさん習います。多いことは多いですが、日本の子どもたちが学ぶ、ひらがな・カタカナ・漢字に比べれば、まだまだ甘いですねえ。
 
 
 
算 数     算数については、勉強する順序や内容はほぼ日本と変わりません。しかし、教科書を見たり、宿題をしている様子を見たりすると、細かいところでの違いが見えてきます。
 
 
一年生
 
            
  教科書表紙      数の使われ方のページ  オイロを使ったお金の計算
 
日本の子どもが入学と同時にいっせいに買う(買わされる)「算数セット」なるものは優れ物だなあと思います。ちょっとお高いけど、それに名前つけるのすごくたいへんだけど、よくできてる。特に数の認識用の数字カードや反復練習用のたし算&ひき算カードは有用です。私はNちゃんのために、それを真似てカードを作りました。けっこうな作業でした!思うに、ドイツの学校では日本ほどに学校で反復練習をさせる時間的余裕がないのでは?と。宿題を見ている限り、練習はあくまで家庭で。  
 
 
二年生
 
     
   教科書表紙     バーベキュー       温度計     ブレーメンの音楽隊
 
100までの数を習い、二桁の数のたし算とひき算を勉強します。かけ算を勉強するとほぼ同時に簡単なわり算も。かけ算は  3×4→4・3(フィアマールドライ=3の4倍) わり算は  6÷2→6:2(ゼックスゲタイルトドュルヒツヴァイ=6割2)
ドイツ語では二桁の数をよむとき、日本語のように十の位の数字からではなく、一の位の数字から読みます。英語でも21以上になると日本語同様に十の位の数字から読むのですが、ドイツ語ではやはり一の位の数字からです。
 
       日本語  英語          ドイツ語
例:・・・   フォアティーン    フィアツェーン
       二十  トゥエンティフォア  フィアウントツヴァンツィック
 
 
このことが、数の認識の支障になる可能性もありそうです。Nちゃんも二桁の数を読んだり書いたりする初期段階で混乱していました。ちなみに私の知っている範囲ではドイツ語の数字読みはかなり特殊では?日本語の「万」もインターナショナルではないですが。
 
 
三年生
 
        
   教科書表紙    トン学習にフェリー登場  ソーセージスタンドの計算書
 
千までの数を勉強します。日本では二年生ですでに一万までの数が出てくることを考えると、ゆっくりめだけど、子どもの日常からかけ離れた数を早くに学習してもなあ・・・とも思います。
たし算の筆算をするとき、繰り上がりの数は隣りの桁の数字の上ではなく下の方に書く習慣のよう。これはまあ大差なし。
また、「倍の数」をしつこく練習します。つまり2の倍は4 4の倍は8 8の倍は16 16の倍は32 というふうに。日本のような覚えやすい九九はないので、ひたすら練習&記憶
単位の勉強で驚いたのはデシメーター(dm)デシは十分の一という意味なので、つまり10センチのことです。これを実際に使うのかと聞いたところ、建築なんかではたまに使うらしい。う〜ん・・・
算数については本当に宿題量が半端ではありません。たいてい日にウン十問の計算をやってます。
 
 
四年生
 
          
   教科書表紙    休暇用貸しアパートの問題   ごみ量の問題
 
一万・十万・百万と段階をおって学習する数は大きくなっていきます。(日本では四年生で一兆まで出たような)四則計算の総仕上げです。かけ算・わり算の練習問題が山ほど宿題にでます。
いわゆる「筆算」の書き方が日本と違っていて興味深いのでちょっと紹介。
 
 
      かけ算              わり算
 
    1247・8           1098:3=366       
    ―――――――     − 9                   
        56        ―――――               
       32             19              
      16             −18              
      8            ――――               
    ―――――――         18                
      9976            −18             
                     ―――              
                         0            
 
中でも文章問題がMちゃんは苦手。小学校で低学年からよく使うテープ図とか線分図とかの「図」を使っての理解はあまりポピュラーではなさそうです。
 
 
 
以上、かいつまんでの教科書紹介でしたあ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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